【開催報告】「光・レーザー関西シンポジウム2026」2026年7月15日開催報告
2026年8月6日
NPO法人日本フォトニクス協議会JPC関西
JPC関西講演会_光・レーザー関西2026シンポジウム_開催報告
「半導体レーザーの新展開~拡がるVCSELの応用~」
2026年7月15日(水)13:30~16:30
マイドームおおさか8F 第2会議室にて

▲会場の様子
冒頭主催者を代表して山本支部長より、本日のプログラムに関する趣旨説明と、本講演会が光技術応用の産業に関わる方々にとって、有用な情報交換・意見交換の場となり、新たな応用展開につながることを祈念したい旨の開催挨拶が行なわれました。

▲主催者挨拶(山本和久 JPC関西支部長)
講演1
濱口 達史 教授(JPC関西運営委員/九州大学 総合理工学研究院)より
『VCSELとは』のご講演をいただきました。
まずVCSELに関しての一般的な説明を頂き、端面出射型レーザーは大型「高出力」に対し、VCSELは小型「低出力」でモバイル機器に適したレーザーである。また、VCSELのメリットとして、EEL(端面発光レーザー)は、ウェハーのダイシングやチップ端面へのミラー形成という複雑なプロセスが必要なことに対し、VCSEL(面発光レーザー)はウェハー状態のままでレーザー動作が可能である。また、アレイ化が容易でウェハーレベルで大量生産が可能である。
VCSELは今後10年で最も成長が期待されている光半導体の1つで特にAI、データセンター、LiDAR、3Dセンシング、医療等の分野で需要拡大が見込まれております。

▲濵口達史氏(九州大学 教授)
講演2
藤岡 威吹 様(ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社)より
『車載LiDAR向け積層型SPAD距離センサーを用いた長距離高分解能LiDAR』のご講演をいただきました。
KW : SPAD、LiDAR、車載センサー、積層型イメージセンサー、高分解能、長距離測距、AD、ADAS
ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社で開発を進めておられる車載LiDAR向けの積層型SPAD距離センサーについてご紹介頂きました。
本技術は積層型SPAD距離センサー、1D Addressable VCSEL、dToFを組み合わせることで、車載用途に必要な長距離・高分解能・小型化を実現することを目的としている。技術のポイントとして、(1)dToF方式にて、レーザーの往復時間から距離を測定、現在の車載LiDARで主流となっている方式、高精度・長距離測距が可能、(2)積層型SPADセンサーは従来のAPD方式に対し、単一光子レベルの高感度検出、センサーと信号処理回路を積層、高速処理、小型化、多チャンネル化が可能、(3)VCSEL制御は、940nmVCSELを8チャンネルに分割し、対象物や距離に応じて、発光回数、発光エリアを変更し、重要な領域へより多く照射することで検出性能を向上させている。評価結果として、検出性能は反射率10%ターゲットを300mまで検出、約180m先の高さ25cm障害物も検出可能。測距性能は最大誤差が約5~8cm、最大ばらつきが約10cmと高精度な測距性能が確認できている。
今後の課題として、さらなる小型化、コストダウン、雨・霧など悪天候時の性能向上、消費電力削減が挙げられている。LiDARの応用例として、ロボティクス、プロジェクションマッピング、エンターテイメント向けへの展開も期待される。

▲藤岡 威吹 氏(ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社)
講演3
五箇 繁善 教授(東京都立大学 システムデザイン学部 電気電子工学科)より
『VCSELの原子時計応用』のご講演をいただきました。
KW : 原子時計、量子センサー、超高精度発振器、チップスケール原子時計(CSAC)
従来のガスセル型原子時計は、Rbランプやマイクロ波共振器を使用するため大型・高消費電力であった。VCSELとCPT(Coherent Population Trapping)技術の採用により、小型・低消費電力化を実現。将来的には、体積1c㎥以下、消費電力30mW以下の超小型原子時計の実現を目標としている。
超小型原子時計は、高精度な周波数・時刻基準として幅広い活用が期待されており、主な用途は、携帯電話基地局、TV局の周波数基準、計測器のリファレンスや校正機器、資源探査、地震観測、位置情報追跡等様々な用途で使われる可能性があります。VCSELを採用するメリットとしてCSACではVCSELが重要な光源となり、主なメリットとして、低消費電力、小型化が容易、高速変調が可能、高信頼性、Rb(ルビジウム)やCs(セシウム)の冷気波長に適している事が挙げられる。
今後の展望として、VCSELを利用した超小型原子時計は、小型、低消費電力、高精度を兼ね備えており、今後は衛星、ドローン、次世代通信、自動運転など幅広い市場で採用が進むことが期待される。また、VCSELの高速変調技術やパルス制御技術の発展により、さらに高性能なチップスケール原子時計の実現が期待される。

▲五箇 繁善 氏 (東京都立大学 教授)
講演4
鎌田 将尚 様(SCALE photonics株式会社 代表取締役社長 CEO)より
『チップスケール ハイピークレーザ』のご講演をいただきました。
KW : 半導体レーザ、個体レーザ、チップスケール
SCALE photonics株式会社は、ソニーのレーザー開発メンバーが設立したスタートアップ企業であり、チップサイズの個体レーザーの研究開発・製造・販売を進めている。このレーザーの特徴として、フットプリント1m㎡以下の超小型構造、最大57kW級の非常に高いピーク出力、ウェハレベルプロセスによる量産対応、高効率・高品質なレーザービームが挙げられ、従来の半導体レーザーでは困難だった高ピーク出力を、小型デバイスで実現できる事が大きな特徴である。このレーザーはBPPがVCSELやEELよりも小さく、集光性に優れたレーザーを実現している事により、微細加工、高精度測定、LiDARなどへの応用が期待される。
さらに、シミュレーション及び実験結果から、提案構造ではQスイッチレーザー動作が可能であることを確認しており、ナノ秒オーダーの短パルス、高ピーク出力が実現可能となる。主なターゲット市場は、検査・分析、レーザー加工、産業用LiDAR、データセンター、医療、ARグラスなどがある。本技術はVCSELと個体レーザーを融合した新しいレーザー方式であり、小型化と高出力化を両立している点が非常に印象的でした。また、ビーム品質の高さから、半導体検査、精密加工など高精度が求められる分野への応用可能性が高いと感じました。
ウェハレベルで量産できる点も将来的なコスト競争力につながる為、今後の製品化や市場展開に注視したいと感じました。

▲鎌田 将尚 氏 (SCALE photonics株式会社)
16:30 本講演会、大変有意義な時間をもって、終了いたしました。
情報交換会はβ本町橋2Fラボにて(17:10~18:30)開催いたしました。
参加者企業の近況、研究開発課題、講演内容についての質疑応答など自由活発な情報交換がなされ、概ね1時間半として設けられていた時間が、あっという間に過ぎ、大変有意義な交流の場となりました。

▲情報交換会の様子
今回の講演会には、講師(4名)関係者(8名)を含め41名が参加。
参加者内訳は、会員(個人、法人)11名、一般参加18名となっており、会員企業はもとより、非会員企業の関心の高さが顕れた参加数となりました。
参加者からのアンケート結果をもとに、今後の講演会やセミナー等JPC関西活動の参考にさせていただきます。
最後に
今般、講師各位、各位所属の企業、株式会社オプトロニクス社、その他方面の関係者方々のご尽力ご支援により無事開催のご報告ができましたこと、感謝申し上げます。
以上










