JPC関西主催「第4回 光・レーザー関西2022 シンポジウム(2022年7月21日)」の開催報告

2022年8月22日
NPO法人日本フォトニクス協議会 JPC関西

  
第4回光・レーザー関西2022 シンポジウムの開催報告
「カーボンニュートラルにおける光・レーザー技術の貢献」
2022年7月21日13:15~16:00 マイドームおおさか8F(第3会議室)

JPC関西では、7月21日(木)に「光・レーザー関西2022 シンポジウム ~カーボンニュートラルにおける光・レーザー技術の貢献~」を開催いたしました。

今回のシンポジウムは、2019年9月に開催しましたJPC関西見学会(SPring-8&SACLA)以来、2年と10か月ぶりに会場にお集まりいただいたリアル講演会でした。コロナ禍のもとではありましたが、同じ会場で開催がありました「第4回 使えるセンサ技術展2022」「光・レーザー関西2022展」同様、来場者だけではなく、講演者の皆さまなどに対しても、十分な感染拡大防止対策を実施し、開催しました。また、直前になりコロナ感染拡大の第7波の影響を懸念して、JPC関西恒例の情報交換会は苦渋の決断でキャンセルとしましたが、講演会後に短時間で名刺交換会も実施いたしました。参加者みなさまのご理解とご協力によりまして、当該シンポジウムは成功を収めることができたものと確信いたしております。


▲開会の挨拶(中井支部長の代理で山本副支部長)

今回のシンポジウムは多くの皆様がご興味のあるカーボンニュートラルと光技術をテーマに企画・実施しました。わが国は2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。JPC関西との協力関係のあるレーザー学会が2050年に向けた提言書「2050年カーボンニュートラルへのレーザー技術の貢献」を本年1月12日に発表しました。同提言書は「カーボンニュートラル」に対して8種類のレーザー技術に注目、本シンポジウムではそのうち、『レーザーを用いたクリーンエネルギー』に関連した「レーザー核融合」「太陽光励起レーザーのエネルギー応用」、レーザー適用によるシステム革新』に関連して「スマート農食産業へのレーザー応用」「レーザー加工の産業応用(青色レーザーと微細加工)」の4種のレーザー応用技術を取り上げ、各分野のエキスパートの方々にご講演をいただきました。


▲三菱電機株式会社 杉浦 博明氏

最初に本シンポジウムの開催趣旨を、レーザー学会タスクフォースを代表して「2050年カーボンニュートラルへのレーザー技術の貢献」を三菱電機株式会社 杉浦様より紹介・解説いただきました。

最初の講演は、長年の夢の技術とされたレーザー核融合が米国NIFにおいてついに核融合反応の収支を「部分的に黒字化」できたのですが、これに先駆けて、新しい視点で「レーザー核融合実現に向けた民間の取り組み」として、レーザー核融合商用炉の実現を目指した開発と技術提供をビジネスの両輪で取り組む株式会社EX-Fusionの松尾代表にレーザー核融合の最新情報についてお話をいただきました。

2番目の講演は、「太陽光励起レーザーのエネルギー応用」では、光創成大学院大学の長谷川教授より、太陽光励起レーザー高効率化、エネルギー伝送、移動体へのエネルギー給電、宇宙空間での太陽光発電伝送などの技術開発とCO2の削減から負の排出までを視点に入れた大変興味深い提案がありました。

3番目の講演は、「スマート農食産業へのレーザー技術の貢献」として、2050年に向けてレーザー学会スマート農食産業へのレーザー応用技術専門委員会を代表して、三菱電機株式会社開発本部の小島担当部長からレーザー計測による農業の精密化、レーザー光源による植物工場の高効率化、食味や収量、収穫物の非破壊光センシング、レーザー害虫防除、など2050年に向けて注目する光技術が提案されました。

4番目の講演は「レーザー加工の産業応用(青色レーザーと微細加工)」として、レーザー加工システムを自社開発する株式会社片岡製作所の西専務取締役より、近年特にその進歩、応用が注目されている電気自動車EVの主要部品となるモーター、バッテリーなどの製造に欠かせない部材としての銅材料の使用に必須の高効率な銅溶接に関し、とりわけ省エネルギー・高品質によるカーボンニュートラルへの貢献が期待される青色レーザーとその応用として赤外線レーザーとのハイブリット加工について、その技術開発の現状と、微細加工に必要な技術開発など、今後ますます加工分野への伸長が期待されている技術のその将来展望を聴くことができました。

【今回講演を引き受けていただきました各エキスパート】

また、すべての講演者に対する積極的な質疑、コメント提案など、たいへん活発な討論が行われました。最後の名刺交換でも短い時間内でしたが、各講演者の前に行列ができるなど、講演者からも新たなニーズが確認できたと喜ばれました。今後、それらの新たな出会いから2050年カーボンニュートラルに向けた新規な取り組みが期待できる、ほんとうに有意義なシンポジウムとなりました。参加いただきました皆様に感謝申し上げます。

【久々のリアル会場の雰囲気】

今回の参加者は定員45名のところ第7波の影響はありましたが、最終的には41名の参加をいただき、うち会員企業が3割、一般企業からは5割の参加人数を数えました。又、参加者からのアンケートでは、講演内容は最新のレーザー研究内容についても高い関心がえられました。これらの意見は、今後のJPC関西の活動に活かしてまいります。開催目的である、本シンポジウムを通じ、会員企業及びフォトニクスに興味をお持ちの新たな参加者との活発な議論によりまして、カーボンニュートラルに貢献する光・レーザー技術の未来を共有できましたことを改めて皆様にご報告させていただきます。

最後に、今回のシンポジウムは概ね大きな問題もなく無事に終えることができました。今後は状況に応じてリアルとリモートを使い分けた形でセミナーや講演会を企画して参ります。皆様と会場にてお会いして情報交換会でお話できる日が来ることを切に願うばかりです。引き続き皆様からのご支援を宜しくお願い致します。

以上

 

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