【開催報告】JPC関西講演会「光技術が拓く新産業創出」~研究開発〜起業〜上場 までの成長ストーリー|2026年3月12日開催報告

2026年3月26日
NPO法人日本フォトニクス協議会JPC関西

JPC関西講演会「光技術が拓く新産業創出」
~研究開発~起業~上場までの成長ストーリー~

■2026年3月12日(木)13:30~17:10 情報交換会 17:15~18:45
■会場:オフィスパーク 堺筋本町サザン会議室703ABにて

近年、日本の成長戦略の中核を担うスタートアップへの期待が高まる一方、IT・サービス系と比較して資金や時間を要する工学・ものづくり系への支援が依然として不十分な状況です。しかし、この分野が産業の未来を左右する鍵となります。
そこで今般JPC関西では、この課題に臨む関西発スタートアップ4社をお招きし、起業の経験、独自の資金調達方法、事業課題そして、将来のExit戦略まで現場のリアルな声をお届けし、参加者各位に登壇各社が持つ唯一無二の技術、ポテンシャルや情熱に触れていただき、新たなコラボレーション、出資・投資の可能性、新しい事業の柱の開発ヒントなどの探求やその育成などに繋げていただこうとの思いで企画いたしました。

冒頭JPC関西 豊田副支部長より
今回はいつもとは少し違った切り口での講演企画であるなど企画の主旨、年度末の多忙の折参加いただいた謝意とともに講師皆様、参加の皆様と活発な議論を期待したい旨挨拶が行われました。

▲JPC関西副支部長 豊田周平

<講演1>として
「現実と見分けがつかない未来へ:IntraPhotonが切り拓く次世代VR/ARディスプレイの革命」  
・藤原 康文氏(株式会社 IntraPhoton CTO & Co-Founder / 博士(工学))
・本蔵 俊彦氏(CEO/Co-founder)
に講演いただきました。

 ■株式会社 IntraPhoton  https://intraphoton.com/
  本蔵 俊彦:CEO/Co-founder、藤原 康文:CTO/Co-founder
 ■設 立 : 2025年10月6日
 ■所在地 : 〒525-0058 滋賀県草津市野路東1丁目1-1 立命館大学 グラスルーツイノベーションセンター GICLab10
 ■研究室 : 藤原研究室 立命館大学 総合科学技術研究機構

・次世代マイクロLEDディスプレイの現状と課題について液晶、有機ELに比し、
輝度、コントラスト、応答速度、消費電力など比較優位性をもつものの、LED実装におけるコストにおいて課題ある現状であるが、
・Eu(ユウロピウム)添加のGaN材料技術により、環境温度に対して安定しないと考えられている発光波長のバラツキをなくし、狭帯域の安定な発光波長をつくりだしに成功され、
この赤色(Eu添加GaN)と青・緑(lnGaN/GaN)の3色LEDの「縦集積」同一基盤上への集積に成功され、広色域フルカラ集積を実現されています。もともと小さくして使用するというニーズがなった世界からメタバースの時代に入り、微細化しても光る赤色のマイクロLED開発が課題とされている現状とこれに対する各課題解決のためのユニークなオンリー技術をご紹介いただき、マイクロLED実装における課題の解消も相当に近いと感じさせていただける内容でした。
株式会社 IntraPhoton社が提供するマイクロLEDウエハが可能にしてくれる製品スペッックの開発目標および足元のスペックレベルを説明いただき、市場の先端機種と桁違いの高精細度、高輝度を実現さていく姿が容易に想像されました。
藤原氏と本蔵氏とは本蔵氏が米国シリコンバレーで幅広く起業支援をされておられた時、藤原氏の研究に非常に興味深いものを感じとられ、日本での協働を始められたとのこと。
互いにパートナーとして各種デバイスへの採用、幅広い領域での活用を目指し、スタートアップ創業を進めていかれている講演でのお2人の姿は、自分の信じる技術、領域を信じ切ることの重要性を非常に感じるものでありました。


▲株式会社 IntraPhoton藤原 康文氏:CTO/Co-founder

▲株式会社 IntraPhoton本蔵 俊彦氏:CEO/Co-founder

なお、藤原先生には
・2014/3/20 JPC関西設立記念講演会『新たな光技術による環境貢献と関西復権』 希土類添加半導体とLEDへの応用
・2017/3/10 JPC関西 産業用LED応用研究会&JPC関西定例講演会『最新の半導体光源(LED/LD)とその応用』希土類添加半導体を用いた狭帯域赤色LEDの新展開
ご講演をいただいています。(ご参考)

<講演2>として
「レーザーフュージョンスタートアップ設立の経緯」
講師:森 芳孝氏(株式会社EX-Fusion 共同創設者 / 光産業創成大学院大学 准教授
/博士(工学)
に講演いただきました。

 ■株式会社 EX-Fusion  https://ex-fusion.com/
  CEO 兼共同創設者:松尾 一輝、共同創設者: 森 芳孝
 ■設 立:2021年7月19日
 ■2025年10月:シリーズAラウンド(エクステンション)ラウンドで4億円の資金調達 累計調達額60億円(デット含む)
 ■拠 点:大阪大学テクノアライアンス棟、浜松イノベーションキューブ、京大桂ベンチャープラザ

フュージョンエネルギーとは・・の説明から、核分裂と核融合(フュージョン)の違い、そしてレーザーフュージョンの仕組みと方式、レーザーフュージョンの強みとピーク電源までの対応力など難しい内容を非常にわかりやすくご説明をいただきました。
国策としてのフュージョンエネルギーとして
・世界に先駆けた2030年代の発電実証を目指すことの明記
・経済産業省の資源エネルギー庁にフュージョン室が新設されたこと
・政府が発電実証目指したスタートアップに3年間で600億円の補助を表明していること
などを説明をいただく中で、高出力(100MW~1GW)発電には高繰返し動作(10Hz以上)が不可欠であり、目下EX-Fusion社様におけるこの繰り返し運転実証へ向けた要素技術の高度化、発電実証に向けた開発ロードマップについて、わかりやすくご説明をいただき、世界での技術開発の進展状況の理解をさらに深めていくができました。レーザーフュージョン技術の実証さらなる発展・進化、レーザーを核とした光産業技術の融合、新産業の創出など近い将来に向けてのEX-Fusion社様への期待、日本技術への期待が大きくなるばかりの貴重なご講演でありました。
森 芳孝様にはスタートアップ設立の経緯などについて、ベンチャーキャピタルとの出会い、学生時代での地学授業へ興味そして自分のやりたいことと大学の研究テーマが一致、オイルマネーの時代など諸々要素が重なったことなどが起業の背景、そして‘将来のExitはコツコツと“などざっくぱらんにコメントをいただき、唯一無二の技術への挑戦、スタートアップ事業としての情熱に触れることできた貴重な時間でありました。


▲株式会社 EX-Fusion共同創設者: 森 芳孝氏

なお、EX-Fusion様には、
・コロナ禍の2022/2/22 第6回JPC関西オンラインサロン『レーザー核融合のビジネス展開』レーザー核融合のベンチャーの果たす役割:松尾一輝氏(EX-Fusion代表取締役)にお話をいただいています。(ご参考)

<講演3>として
「研究から起業、そして上場へ。光響が直面した壁と、それを乗り越えた経営の要諦」
講師:住村 和彦氏(株式会社光響 代表取締役CEO / 博士(工学)、MBA )
にご講演をいただきました。

 ■株式会社光響  https://www.symphotony.com/
 ■資本金 15,000千円
 ■上場証券市場 東京証券取引所 TOKYO PRO Market jpx
 ■銘柄コード 5887
 ■沿革
  2009年 合同会社光響設立
  2011年 株式会社光響 に組織変更
  2023年 東京証券取引所「TOKYO PRO Market」 へ上場

2023年 東京証券取引所「TOKYO PRO Market」へ上場 お祝い申し上げます。
将来の一般市場(プライム・スタンダード・グロース)へのステップの足がかりとされておられるかもしれないと、今後の事業への展望とともに、事業の軌跡へも大変興味を持させていたただきました。
論文は世界でNo1でないと書けない、大きなマーケットをよりセグメント・細分化していく手法をベースとした唯一無二経営。当初自ら研究者として専門化、蓄積してきたレーザーに関する知見を活かし、レーザー機器・医療機器、技術情報サイト運営などIT企業を目指されておられたこと。しかし市場の大きさや起業した土地柄風土にも影響を受けたか、順調には事業推移せず、モノを扱う事業へ転換していかれた事情な披露いただきました。
・工学博士+MBAの知見
・ファイバーレーザーの知見
・超短パルスレーザーの知見
など自身の強みを巧みに融合され
Webサイト化 ②書籍化 ③モード同期レーザーキッドの商品化 などへ
事業の柱づくりをしておられます。
モノにすることの重要性を大切にされておられ、たとえば国内最多品種レーザーマーカー技術では、食事スプーンに「カレー店ブランドの刻印する技術」や「4ガラスの内部にレーザーで書き込みする技術」など紹介をしていただき、技術レベルの高さで、さらにモノと専門性へのこだわりなど自分の理解を深めることができました。
「モードロック経営(人もレーザーも波、モードロック技術は経営に生かせる)」を軸に
事業成長中である同社ですが、過程ではメディア事業、技術コンサル事業、受託開発事業、中古品販売事業、商社、メーカー業など多様な形態で事業を推進されてこられ、これら事業の過程では、組織の大編成や人材流出の危機その他幾多の困難、事件を赤裸々に、しかもわかりやすく、惜しげもなく紹介いただきました。なんとも有難く、貴重な時間に感謝申し上げます。

▲株式会社光響 代表取締役CEO住村 和彦氏

<講演4として>
「競争力を生むオープンクローズ戦略:技術を活かす賢い選択」
講師:安達 宏昭氏(株式会社創晶 代表取締役社長 / 博士(工学))
にご講演をいただきました。

 ■株式会社創晶 (SOSHO, Inc.)  http://www.so-sho.jp/
 ■設 立:2005年(平成17年)7月1日
 ■所在地:〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-1 大阪大学工学P3棟313号
 ■代表者:代表取締役社長 安達宏昭
 ■資本金:6080万円

オープン&クローズ戦略について、自社の持つ知的財産や技術を「オープン(公開・標準化)」する部分と、「クローズ(秘匿・独占)」にする部分に分け、市場での競争優位性を最大化する戦略と表現されますが、実事業ではいかなる戦略なのか興味津々でした。
大阪大学発創薬支援ベンチャーとして、大学で開発したイノベーション技術を日本の製薬企業へ還元することを大きな理念のひとつとされているベンチャーです。
創薬支援ワンストップサービスやビジネススキームなど詳しく、しかもわかりやすく紹介していただきました。結晶化受託ビジネスの要所として、専門化小集団で知見、ノウハウを蓄積し、機密性を確保し、技術の流出を防ぐ。専門性とともに価格設定を上げる。これができるのは、難問に挑戦する環境がつくれているから。お金をもらって難問の実績を積むそのための価格設定。
オープン戦略のひとつとして、大阪大学発連携支援型ベンチャーとして、株式会社dotAqua
を運営されています。事業内容のひとつとして酸化制御技術のための活性化の強弱を制御するシステム(MA‐T System)の応用展開です。
感染制御=医療ライフサイエンス=食品衛生=農業・林業=新素材(表面酸化)=環境エネルギーのチェーン 活性化の強弱を制御することで、このチェーンなる広範な応用展開を目指しておられます。


▲株式会社創晶 代表取締役社長 / 博士(工学)安達 宏昭氏

講演のクロージングとして山本支部長より
今月3/24 実施予定の講演会、7月毎年恒例の「光・レーザー関西2026」を協賛し、JPC関西主催のシンポジウムも開催する旨および過去のシンポジウム、講演会はJPC関西のWebサイトに掲載されており、世間で大きな話題になる前の先取りをすることも我々のポイントとして考えているのでぜひご覧いただきたいなどの告知とともに、今般講演講師および参加者各位への謝意、挨拶が行われました。


▲JPC関西支部長 山本和久氏

▲講演会の様子

 

同会場にて準備を行い、情報交換会(~18:45)を開催いたしました。
参加者企業の近況、研究開発課題、講演内容について講師への突っ込んだ質疑応答など自由活発な情報交換がなされ、概ね1時間として設けられていた時間が、あっという間に過ぎ、大変有意義な交流の場となりました。


▲情報交換会の様子

今回の講演会には、講師関係者を含め28名参加。
参加者からのアンケート結果をもとに、今後の講演会やセミナー等JPC関西活動の参考にさせていただきます。

最後に
今般、講師各位、各位所属の機関や企業、研究グループほか協賛団体様含め多方面の関係者方々のご尽力ご支援により無事開催のご報告ができましたこと、末筆ながら心より感謝申し上げます。

以上

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